歯列矯正 失敗のリスク

歯列矯正治療を受けて、ひどい目に遭ったという人もたくさんいます。

100%の人に短期間で英語を習得させる英語教師が存在しないように、100%の成功率を誇る歯列矯正治療などというものもありません。治療を施すのはひとりひとり能力の違う人間であり、また同じように治療を受ける患者もひとりひとり異なります。

私たちは美しい歯列写真の貼られた広告を見て、つい「お金を出せば、自動的に私もああなるのだ」と、反射的に考えてしまいますが、医師に治療を受けると言う行為は、ロレックスを買って左腕にはめることとは根本的に違うことなのだと、常に念頭に置いておかなくてはなりません。

歯列矯正失敗とは何を意味するのか?

私たちのほとんどは物を噛む時、自分がどんな動きをしているのか意識しません。ヴィパッサナー瞑想的な訓練を日常的に行っているなら話は別ですが、何か異変でもないかぎり口の中を強く意識することはないかと思います。

物を噛むときの顎の運動(顎の動き方)は、ひとりひとりが長い年月をかけて作り上げて獲得した独自の運動システムです。世界中のどこにもない唯一のプログラムと言いかえてもいいでしょう。そしてそれは、年齢を重ねるにつれて他の器官とともに緩やかに状況に合わせて変化していきます。

歯列矯正すると、稀に噛み合わせ(顎の運動)が急激に変化してしまうことがあります。その結果、だれも全く予想していなかった身体の不調が生じてしまうケースがあるようです。特に20歳以上の成人矯正では、ほとんど知られていないような副作用が出ることがあります。噛み方を含めて身体のさまざまなシステムが完成している成人にとって、副作用が起きやすいのは当然のことなのかもしれません。

歯列矯正するとき、ワイヤーをかけて力を加え、歯を移動させていきます。この際に歯を移動させるスペースを確保するために上下の小臼歯を抜くことがあります。審美目的のためだけに健康な歯を抜くという行為自体微妙な感じがしますが、歯を抜かなくても歯を移動させることで、上下の歯の噛み合うポイントが変化し、今までとは違う「ズレ」を感じることになります。

そして、今までと違った噛み方(顎の運動)に修正していくことになります。つまり顎の筋肉の働かせ方や、その脳神経回路を新たに獲得するということです。この変化が急激だと、変化に身体が対応しきれずに、歯や顎の痛み、頭痛、めまい、吐き気、パニック症状など、引き起こしてしまうことがあります。

歯列矯正は本来、噛むという機能回復のための治療法なのだそうです。審美的な目的にばかり目がいってしまいますが、もし治療を受けられる場合、そのことも念頭に置きながら歯科医院を選ぶようにしてください。

矯正の期間はおそらく2〜3年程度だと思います。矯正の変化に、自分の身体と意識がどれだけついていけるかですが、こればかりは、明確な判断基準もおそらくないためなんとも言えないところです。ひとつだけ言えるのは、短期間で治せるなどといったアメリカの通販広告じみたことをしているクリニックを選んではいけないということです。

ここまでマイナス面を書いてきましたが、歯列矯正したことで背骨の歪曲が改善され姿勢がよくなったり、したという例も数多くあります。たいていの患者さんは性格も人生も明るくなったのかもしれません。ただし、起こり得る未来をご自身でできるだけ想像し、覚悟をして治療に臨んでください。飛行機に乗れば、毎年事故に遭う人たちが何%かはいるのと同じです。

医療機関の評判など、事前調査だけはしっかりやってください。判断は慎重に!

歯列矯正 顎関節症

歯列矯正の治療の結果、噛み合わせが悪くなり顎関節症になってしまうことがあります。その関連性は一部では否定されていますが、治療後はじめて発症したならそれ以外の理由を考える方が難しいでしょう。

顎関節症の症状は人それぞれですが、三大症状と呼ばれる症状があります。

  • 顎関節の痛み(口を開ける時、物を噛む時に痛む)
  • 開口不全(口が開けづらい)
  • 顎関節雑音(顎の関節がカクカク言ったり、ジャリジャリ言ったりする)

また、耳鳴り、耳痛、頭痛、めまいなどが起きることがあります。